バイオリンの防音対策を比較|夜・深夜の練習に使える防音室・吸音グッズ
「仕事や学校が終わってからバイオリンを練習したい。でも、夜に音を出すのは近所迷惑になりそう……」
バイオリンを練習していると、この問題に悩む人は少なくありません。
バイオリンは小さな楽器ですが、実際に弾いてみるとかなり大きな音が出ます。 特にマンションやアパート、家族と同居している場合には、夜間の練習には注意が必要です。
そこでこの記事では、 夜・深夜にバイオリンを練習するための防音対策を、価格や手軽さ別に紹介します。
なお、ここで紹介する防音室や吸音材を筆者自身がすべて購入して試したわけではありません。 メーカーが公開している製品情報や販売店情報、購入者レビューなどを確認したうえで、 バイオリン練習に利用できそうな選択肢をまとめています。
結論|深夜のバイオリンは一つの防音対策だけでは難しい
最初に結論を書くと、バイオリンを深夜に練習する場合、 一つの防音グッズだけで完全に音を消すのは難しいと考えた方がいいでしょう。
現実的には、次のように段階的に対策する方法があります。
- 弱音器を使う
- 電子バイオリンを使う
- 床や壁に吸音・防振対策をする
- 簡易防音室を使う
- 複数の対策を組み合わせる
予算や住環境によって、必要な対策は大きく変わります。
一番手軽なのはバイオリン用の弱音器
まず試しやすいのがバイオリン用の弱音器(ミュート)です。
駒に取り付けることで振動を抑え、生のバイオリンより音量を下げることができます。 価格も比較的安いため、 「まずはできるだけお金をかけずに夜間練習をしたい」という人には使いやすい方法です。
ただし、弱音器を付けても無音になるわけではありません。
静かな深夜では、昼間なら気にならない程度の音でも意外と響きます。 特に集合住宅では、弱音器だけで安心とは考えない方がいいでしょう。
まず手軽な方法から試してみたい方は、バイオリン用弱音器の価格や種類を確認してみてください。
深夜練習なら電子バイオリンが有力
夜間練習を目的にするなら、通常のバイオリンよりも 電子バイオリン(サイレントバイオリン)の方が適しています。

電子バイオリンならヘッドホンを使えるため、 アンプやスピーカーから大きな音を出す必要がありません。
ただし注意したいのは、 電子バイオリンも完全な無音ではないということです。
弓で弦をこする音や本体の振動音は残ります。 静まり返った深夜や、隣の部屋で家族が寝ているような状況では、 この生音が気になる可能性があります。
そのため、本当に深夜に練習したい場合には、 電子バイオリンと吸音材などを組み合わせる方法も考えられます。
夜間練習を重視するなら、ヘッドホンが使える電子バイオリンも有力な選択肢です。 電子バイオリンの選び方や実際に夜間練習で使う場合の注意点については、 こちらの記事で詳しく紹介しています。
数千円から始めるなら吸音材という方法もある
防音室を購入する前に検討したいのが吸音材です。
代表的な製品の一つが、東京防音の ホワイトキューオンです。
壁などに設置して室内の反響を抑えるための製品で、 楽器やオーディオなどの音響対策にも利用されています。
実際にどのような素材なのか、また吸音材によって音の響き方がどう変わるのかは、 文章だけでは分かりにくい部分もあります。 下の動画を見ると、ホワイトキューオンの特徴をイメージしやすいでしょう。
ただし、ここで注意したいのが、 「吸音」と「遮音」は同じではないことです。
ホワイトキューオンのような吸音材は、 室内で反射する音を吸収して、響きや反響を抑えることを得意としています。
一方で、 壁を通り抜ける音そのものを完全に止めるための製品ではありません。
そのため、 「吸音材を壁に1枚貼れば、深夜でも生のバイオリンを気兼ねなく弾ける」 と考えるのは避けた方がいいでしょう。
バイオリンの夜間練習で使うなら、 電子バイオリンや弱音器などと組み合わせて、 室内に響く音をさらに減らすための補助対策 として考えるのが現実的です。
また、簡易防音室を使う場合でも、 内部の反響が気になる場合に吸音材を追加する方法があります。
ホワイトキューオンはサイズや厚みによって価格が異なるため、 設置したい場所に合う大きさを確認してから選ぶといいでしょう。
本格的に対策するなら簡易防音室
「弱音器や電子バイオリンだけではまだ心配」という人には、 組み立て式の簡易防音室という選択肢があります。
以前は家庭用防音室というと非常に高価な製品が中心でしたが、 現在では十数万円から購入できる組み立て式の製品も販売されています。
ただし、ここでも非常に重要な注意点があります。
簡易防音室=完全防音ではありません。
実際、十数万円から20万円以上する製品でも、 購入者レビューを見ると音漏れについての評価は分かれています。
KANADE(奏)簡易防音室

簡易防音室として販売されている製品の一つが KANADE(奏)です。
特殊な吸音材を使用した組み立て式のブースで、 楽器練習やホームスタジオ、リモートワークなどを想定した製品です。
価格は20万円前後と決して安くありませんが、 自宅を工事して本格的な防音室を作る場合と比べれば、 比較的導入しやすいのが特徴です。
KANADEは防音性能の高さをアピール
KANADEの販売元が公開している比較資料では、 他社の簡易防音室と比べて高い防音効果が示されています。
公表されている比較内容をまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | KANADE | 他社A | 他社B | 他社C | 他社D |
|---|---|---|---|---|---|
| 平均防音効果 | -45dB | -27dB | -22dB | -15dB | -30dB |
| 吸音材 | ○ | ○ | × | × | × |
| ウレタン | × | × | ○ | ○ | × |
| 重量 | 32.6kg | 50kg | 30kg | 27kg | 25kg |
| 室内サイズ | 高さ1880mm 幅815mm 奥行1110mm | 高さ1880mm 幅815mm 奥行1110mm | 高さ1900mm 幅1100mm 奥行1100mm | 高さ2180mm 幅1030mm 奥行1030mm | 高さ1480mm 幅740mm 奥行1030mm |
| 掲載価格 | 198,000円 | 198,000円 | 115,800円 | 143,600円 | 83,500円 |
この比較だけを見ると、KANADEは 重量を比較的抑えながら、高い防音性能をうたっている ことが分かります。
ただし、ここで注意したいのは、 「平均防音効果-45dB=外にまったく音が聞こえない」という意味ではない ということです。
KANADEの販売側も、 設置した室内への音漏れが発生することを前提としており、 主な目的は隣室や隣家へ伝わる騒音を減らすこととしています。
購入者レビューを見ても、 「思った以上に音が小さくなった」 「隣室への音がかなり減った」 といった評価がある一方で、 ドア周辺などから音が漏れるという指摘もあります。
つまり、 20万円前後する簡易防音室だから、深夜でも生のバイオリンを自由に弾ける と考えるのは避けた方がいいでしょう。
特にバイオリンを深夜に練習するのであれば、 KANADE単体に頼るのではなく、 電子バイオリンや弱音器などと組み合わせる方が安心です。
それでも、 電子バイオリンや弱音器だけでは音漏れが心配という人にとって、 KANADEは一段上の防音対策として検討できる製品です。
約20万円の高額商品なので、 購入を決める前に現在価格だけでなく、 購入者レビュー、とくに低評価レビューも確認しておくことをおすすめします。
AmazonでKANADE簡易防音室の価格・レビューを確認する
OTODASU II LIGHT
もう一つ知られている簡易防音室が OTODASU II LIGHTです。
工具を使わず組み立てられることなどから、 楽器練習だけでなく配信やリモートワーク用途でも利用されています。
購入者レビューを見ると、 ブースで囲うこと自体には一定の効果を感じている人がいる一方で、 吸音材なしの状態では物足りないという声も見られます。
実際に、購入後に自分で吸音材や遮音シートを追加している人も多く、 「吸音材を付けた方がよかった」 「最初から吸音材付きにすればよかった」 といった意見もあります。
一方で、後から吸音材を貼る場合は、 サイズを測ってカットしたり、隙間なく貼り付けたりする必要があるため、 思ったよりDIYの手間がかかったという声もあります。
そのためOTODASU II LIGHTは、 本体だけで完全な防音を期待するというより、 必要に応じて吸音材や遮音材を追加して防音性能を高めていくタイプの簡易防音室 と考えた方がよさそうです。
反対に、 最初から吸音材を備えたタイプを選びたい場合は、 上で紹介したKANADE(奏)の方が比較しやすいでしょう。
KANADEは標準で吸音材を使用した構造になっているため、 購入後に自分で吸音材をカットして貼り付ける作業をできるだけ避けたい人には、 こちらの方が向いています。
ただし、KANADEも完全防音ではありません。 「後から自分で調整しやすいOTODASU」か、 「最初から吸音材を備えたKANADE」かという違いも含めて比較すると分かりやすいでしょう。
OTODASUについては、本体価格だけでなく、 吸音材付きモデルとの価格差や、あとから吸音材を追加する手間まで確認してから選ぶことをおすすめします。
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簡易防音室は「防音室+弱音対策」で考えたい
ここまで見てくると、 夜間のバイオリン練習で重要なのは、 高価な製品を一つ買えば解決すると考えないことです。
例えば、
- 電子バイオリン
- 弱音器
- 吸音材
- 防振マット
- 簡易防音室
などを住環境に合わせて組み合わせた方が効果を期待できます。
床への振動対策も忘れない
防音というと壁ばかりに目が行きますが、 集合住宅では床への振動も考えておきたいところです。
バイオリンそのものはピアノやドラムほど大きな床振動を発生させる楽器ではありませんが、 演奏中の足音や譜面台、椅子などから振動が伝わることがあります。
防振マットや厚手のカーペットを敷いておけば、 こうした生活音対策にもなります。
防振マットはサイズや厚さの種類が多いため、設置する場所に合ったものを探してみてください。
予算別に考えるバイオリン防音対策
どこまで対策するか迷った場合は、予算別に考えてみると分かりやすくなります。
数千円程度
- 弱音器
- 防振マット
- 小型吸音材
まず夜間練習を試してみたい人向けです。
1万円~数万円程度
- 電子バイオリン
- 大型吸音材
- 遮音・吸音対策の追加
通常のバイオリンよりかなり音量を抑えて練習したい人向けです。
10万円~20万円以上
- 組み立て式簡易防音室
- 簡易防音室+吸音材
- 電子バイオリン+簡易防音室
夜間練習の環境を本格的に作りたい人向けです。
マンション・アパートでは特に慎重に
集合住宅の場合は、 隣室だけでなく上下階への音の伝わり方にも注意が必要です。
また建物によって、 壁の厚さ、床構造、窓の位置などが違うため、 同じ防音グッズを使っても効果は変わります。
インターネット上で 「隣の部屋にはほとんど聞こえなかった」 というレビューがあったとしても、 自分の住宅でも同じ結果になるとは限りません。
特に深夜は周囲の生活音が少なくなるため、 小さな音でも昼間より目立ちます。
「完全防音」という言葉には注意
Amazonや楽天などで防音用品を探していると、 「防音」「遮音」「吸音」などさまざまな表現の商品が見つかります。
しかし、 数千円の吸音材から20万円前後の簡易防音室まで、 完全に音を消せるとは限りません。
商品を選ぶときは良いレビューだけを見るのではなく、
- 音が漏れたというレビュー
- どんな楽器に使用したのか
- 戸建てか集合住宅か
- 隣室なのか隣家なのか
- 吸音材などを追加しているか
といった条件まで確認することをおすすめします。
夜のバイオリン練習なら電子バイオリンから考えるのが現実的
防音対策にはいろいろな方法がありますが、 夜・深夜のバイオリン練習という目的だけで考えるなら、 最初から20万円前後の簡易防音室を購入する必要はないでしょう。
まずは、
- 弱音器を試す
- 電子バイオリンを検討する
- 吸音・防振対策を追加する
- それでも足りなければ簡易防音室を考える
という順番の方が現実的です。
反対に、 「どうしても夜しか練習時間が取れない」 「家族が寝た後に毎日練習したい」 という人なら、 電子バイオリンと簡易防音室を組み合わせる方法も検討できます。
大切なのは、 高い防音室を買えば絶対に音が漏れないと思い込まないこと。
自分の住環境と練習する時間帯に合わせて、 必要な防音対策を少しずつ追加していくのがおすすめです。